2024春、動画プロジェクトが始動しました。1年かけて里山の彩りとともにある彩里の日々を、カメラが追います。
そのプロジェクトの様子を、動画企画担当T(彩里応援団ライター)がレポートします。
■プロジェクトのはじまり
「企業プロモ―ション動画が欲しいなあ」という彩里社長・三輪さんのひとことから、すべては始まりました。
「半農半不動産業」を掲げて、里山オフィスで事業を展開中の株式会社彩里。ちょっと特別で、それだけにわかりにくい私たちのやり方。それを伝えるような動画ができないかなと。
「企業CM動画ではないんですよね」と訊いてみました。
「うん。テレビやネットのCMを打ちたいわけではなくて。これを見たらなんとなく彩里のことがわかる、ここでこんな人たちがこんなことやってるんだ、ということがわかるような動画。彩里webサイトのトップに置きたい」
なるほど。
webサイトに載せる企業イメージ動画なら、短いもので、里山の四季と彩里からのメッセージをのせて…
考えながら、ざっとシナリオを書いてみました。今までの1年半にオフィスや周辺で撮りためた写真をつなぎ、彩里の3人がそれぞれ短くコメントする1分余りの動画になりそうでした。
シナリオを読んだ三輪さん、「ええじゃないですか」と好印象の様子。
でも次の瞬間「うーん」と考え込みました。
「この流れ、いいんです。シナリオ通りに編集したらこんな動画になるだろうと想像できます。でも」
三輪さんはPCが得意で、簡単な動画編集もできるそうです。
「でも、そんな素人仕事では、せっかくの良さが伝わらない」
彩りに満ちた里山の四季をちりばめたいのに、素人写真をつないだだけではチープな動画になってしまう、と。
たしかに、今手元にあるのは「今日はよく晴れたなあ」「紅葉が見ごろになってきた」「雪が積もった」など、彩里スタッフが仕事の合間に手持ちのスマホで撮ったものばかり。写っているものはきれいでも、構図も色のバランスも、正直いまいち。
「せっかくつくるなら、出来る限り写真や動画のクオリティを上げたいんです。うん、やっぱりプロの動画が欲しい。里山の美しさをきちんと動画で伝えたい。」
動画。
広沢池の水面に浮かぶサクラの花びら、土に入れるクワの音、風にそよぐ畑の青菜、刈り取られた田んぼに群れるスズメたち、キーンと音がしそうな冷えた雪の朝――。
それらの空気感を伝えるには、もちろん動画素材が一番です。スマホ写真とは比べ物になりませんが、しかし。
正直、「そんな無茶な」と思いました。
たかが(と言ってはいけませんが)1分ちょっとの動画です。テレビで流すCMでもありません。そのために、四季折々にプロの撮影カメラを入れるなんて。それはもう、あまりに贅沢では。
「プロに頼むとどれくらいかかるのかなあ」
と、すでに遠い目になっている三輪さん。
「土とともに生きて、暮らしを大切にしながら、地域の不動産を活かしていく。そういう自分たちの思想を伝える動画にしたい。――ギャラ、たくさんは出せないんだけど、誰か心当たりありません?」
そう言われて思い浮かんだのが、旧知の宮本友介ディレクターです。テレビやWebで長短さまざまなドキュメンタリーを作っていて、カメラの向こうの人の本音と普段着の表情をひきだすのに定評があります。最近は富山の山村に数年がかりで取材に入り、失われつつある地域の祭とそれをめぐる人々の長編ドキュメンタリー映画を制作していました。
この人なら、こういうプロジェクト面白がってくれそう…。
とはいえ、「一年を通して美しい里山を撮る」「彩里スタッフの想いを伝える」となると、何度も通ってカメラを回す必要があります。東京在住の彼にそれが可能かしら。予算との兼ね合いも考えつつ、ちょっと迷いながらチャットを送ってみました。
「京都の会社が、1年かけて自分たちのいる里山オフィスを撮影して60~90秒程度のイメージ動画にしたいというご希望です。構成の大枠はできていて、撮影から編集までお任せしたい。ただし、京都に何回も来ていただく必要あり。ご興味あります?」
ディレクターからの返事は「なんと豪気な!」でした。
「なるはやで、アリものを使って、できるだけ安く作って」が全盛の世の中で、1年かけて密着取材というところが宮本ディレクターの心をとらえたようでした。
「やるならシネマカメラでバッチリ撮ろう」「ドローン撮影も」と矢継ぎ早にメッセージが入り、ついに、
「1年かけてたくさん映像を撮るんだから、企業イメージ動画はつくるとして、そういう面白いことやっている人たちの姿を追った短編ドキュメンタリーもつくりたいよね!」
Win-winという言葉が脳裏に浮かんだ一瞬でした。
■顔合わせ・第1回撮影
3月19日、Zoomで初顔合わせ。初回の現地入りは10日後の3月29日と決めました。桜の開花予想から見ると、ちょうど満開かちょっと過ぎたくらい。「ちょっと遅いかな」なんて心配しながら。
ところがそこから気温が上がらず、開花予想はどんどん後ろにずれていきます。
スケジュール変更も考えたのですが、彩里の業務スケジュールとの兼ね合いもあり、サクラなしを覚悟して第一回撮影を強行しました。
当日の29日は早朝まで冷たい雨、京都市内のサクラというサクラは無情のつぼみ状態でした。今回はサクラ撮影をあきらめ、まずはみんなで仲良くなること、と腹を決めました。
早朝の新幹線で到着した宮本ディレクターを京都駅八条口に出迎え、挨拶もそこそこにまずは上京区の町家へ。京都の不動産を扱う彩里にとって、市内中心部に数多く残る京町家を再生して活用するのは大きなミッションの一つです。それを象徴するような風景を、まず撮りに行きました。
彩里会長の井上さん、業務部長の松本さんも集合して撮影開始。映像映えする京町家にテンション上がる宮本ディレクター。京都の3月末はまだ肌寒いのに、すでに半袖。
彩里オフィスに移動します。
京都になじみのない宮本ディレクターに、京都案内をしながら車を走らせる三輪さん。「エッ、同い年??」という偶然もあり、彩里オフィスに到着する頃にはすっかり意気投合していました。
京都の街中から15分ほどで畑の広がる里山に到着。
「えーっ、こんなところ?」と驚く宮本ディレクター。早速あちこちを見て回ります。
井上さんは「野菜、持って帰るやろ!」と野菜収穫包丁を持って早速畑に。菜花と春菊、ブロッコリー、小松菜……次々に収穫していく様子を追う、宮本ディレクター。
午後から気温がぐんぐん上がり、サクラも少しずつ開き始めました。
居心地の良い彩里の縁側で、まったりしている井上さんと宮本ディレクター。
そして夕方からは秘蔵の日本酒も登場して懇親会となり。
残念ながらやはりサクラ満開とはいかなかった今日、次回撮影の再会を約束して別れました。
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